各種研究集会のお知らせ(2014年第4四半期・開催日順)

このページは、会員の皆さんから寄せられた、研究会、学会または研究・教育機関等が開催する研究集会のご案内です。デザイン上若干変更させていただく場合もございますが、原則として寄せられた情報をそのまま掲載しています。内容についてのお問い合わせは、それぞれの問い合わせ先に直接お願いいたします。またこのページに情報を掲載したいかたは、こちらをご覧下さい

第97回神奈川大学日本常民文化研究所研究会

開催日時:2014年10月15日(水) 17:30〜19:00
開催会場:神奈川大学横浜キャンパス9号館11室
(東急東横線「白楽」駅下車徒歩15分)
発表者とタイトル:
酒向伸行(御影史学研究会代表理事)
「憑霊信仰の歴史と民俗」
主催:神奈川大学日本常民文化研究所
問い合わせ先:
神奈川大学日本常民文化研究所
〒221-8686 横浜市神奈川区六角橋3-27-1
TEL: 045-481-5661(代) FAX: 045-413-4151
URL: http://jominken.kanagawa-u.ac.jp/
その他の情報:参加申し込み不要

京都民俗学会第272回談話会

開催日時:2014年10月16日(木) 18:30〜21:00
開催会場:ウィングス京都 セミナーA
発表者とタイトル:
川村清志(国立歴史民俗博物館准教授/民俗学、文化人類学)
反撃の文化―COUNTER ATTACK ON/OF CULTURE
Sie sind Die Fälschung und wir sind der Leiter.
主催:京都民俗学会
問い合わせ先:
E-mail: mail★kyoto-minzoku.jp(★は@に変えて下さい)
備考:
会員は参加費無料、会員以外からは300円頂戴いたします。

比較民俗研究会

開催日時:2014年10月17日(金) 17:00〜19:00
開催会場:神奈川大学歴史民俗資料学研究科共同研究室921号室
(交通アクセスはこちら
発表者とタイトル:
Nguyen To Lan(ヴェトナム社会科学院研究員)
「ヴェトナム民俗芸能研究の現状」
問い合わせ先:
神奈川大学佐野研究室
TEL: 045-481-5661(内4022)
URL: http://hikakuminzoku.web.fc2.com/(比較民俗研究会)
E-mail: hikakuminzoku★hotmail.co.jp(★は@に変えて下さい)
その他の情報:
参加自由・会後懇親会

北陸宗教文化学会 第21回学術大会シンポジウム

『「住む」ことをめぐって―思想・民俗・建築から考える―』

開催日時:2014年10月18日(土) 10:00〜17:00(午前中は自由発表です)
開催会場:金沢大学サテライトプラザ
(金沢市西町三番丁16/JR金沢駅より北陸鉄道バス「武蔵が辻」下車、徒歩約5分)
プログラム:
基調講演(13:00〜14:00)
西垣安比古(京都大学教授)
「住まいの構想力―明恵上人の夢をめぐって」
司会=市川秀和(福井工業大学教授)
シンポジウム(14:10〜16:40)
○発題1:山本英輔(金沢大学教授)
「場所と言葉 ―ハイデガーをてがかりに―」
○発題2:由谷裕哉(小松短期大学教授)
「住むことと田園都市構想」
○発題3:田中明(武庫川女子大学講師)
「修学院離宮御幸と〈日常〉の反省―建築における相伝の風景」
司会=市川秀和(福井工業大学教授)
問い合わせ先:
北陸宗教文化学会事務局
〒920-1192 金沢市角間町 金沢大学 人間社会研究域 矢口直道研究室
E-mail: nyaguchi★staff.kanazawa-u.ac.jp(★は@に変えて下さい)

慶應義塾大学人類学研究会

開催日時:2014年10月21日(火) 18:15〜
開催会場:慶應義塾大学三田キャンパス 大学院校舎5F 356教室
(JR「田町」駅下車、徒歩10分)
発表者とタイトル:
川野裕一朗(平成国際大学非常勤講師)
「地域の祭りと民俗芸能の資源化に関する研究―中国地方の神楽の事例から―」
コメンテイター(副査):有末賢(慶應義塾大学法学部教授)・阿南透(江戸川大学社会学部教授)
コメンテイター(主査):鈴木正崇(慶應義塾大学文学部教授)
問い合わせ先:
慶應義塾大学文学部:鈴木正崇
TEL: 03-5427-1138
FAX: 03-5427-1578
URL: http://keioanthropology.fc2web.com/
その他の情報:
博士論文の公開審査を兼ねています。
事前申込不要。参加費無料。

シンポジウム「海と向きあう人々の民俗学」

開催日時:2014年10月25日(土) 13:30〜16:00
開催会場:宮城県慶長遣欧使節船ミュージアム(宮城県石巻市)
JR仙石線「渡波」駅から徒歩30分、三陸道「石巻河南」ICから30分・駐車場多数
プログラム:
基調報告
小島孝夫(成城大学文芸学部・教授)
「日常生活を民俗学はどのように捉えてきたのか ―『海女という生きかた』をめぐって―」
事例報告 ―文化財レスキューから民俗研究へ―
葉山茂(国立歴史民俗博物館・特任助教)
「気仙沼市小々汐・尾形家の物質文化からみえる地域」
加藤幸治(東北学院大学文学部・准教授)
「牡鹿半島の海の技術とそれぞれの人生」
小谷竜介(東北歴史博物館・学芸員)
「志津川湾の暮らし ―民具から見えてくるもの、民俗から見えてくるもの―」
主催:公益財団法人慶長遣欧使節船協会/共催:東北学院大学博物館
問い合わせ先:
宮城県慶長使節船ミュージアム(担当:中澤)
〒986-2135 宮城県石巻市渡波字大森30番地2
TEL: 0225-24-2210 / FAX:0225-97-3399
E-mail: info★santjuan.or.jp(★は@に変えて下さい)
サンファン館ホームページ http://www.santjuan.or.jp/
その他の情報:参加無料・事前申込不要

比較民俗研究会 第127回定例研究会

開催日時:2014年11月21日(金) 16:30〜18:30
開催会場:神奈川大学横浜校舎9号館9-212(歴史民俗資料学研究科共同研究室)
(交通アクセスはこちら
発表者とタイトル:
劉潤(国立音楽大学)
「『理想国』のポピュラー音楽 ―旧満洲国のラジオ放送における流行歌―」
鈴木麻菜美(国立音楽大学)
「近現代のトルコにおける民俗音楽の展開 ―TRTの民俗音楽楽団ユルッタン・セスレル・コロスを例に―」
主催:比較民俗研究会
問い合わせ先:
URL: http://hikakuminzoku.web.fc2.com/(比較民俗研究会)
E-mail: hikakumin★gmail.com(★は@に変えて下さい)
その他の情報:
事前の参加申し込みは不要です
発表後には大学近くのお店にて懇親会を開催いたします(参加自由)

国際化する日本の文化人類学と国際情報発信強化の試み 第1回国際シンポジウム

開催日時:2014年11月22日(土) 13:00〜17:00
開催会場:法政大学市ヶ谷キャンパス外濠校舎406
JR総武線「市ヶ谷」駅または「飯田橋」駅下車、徒歩10分
プログラム:
第1部 特別講演
Prof. Joy Hendry(英国 Oxford Brookes University 名誉教授)
「Forty Years of Research and Teaching on Japan : A Personal Trajectory」
コメンテーター:笹川あゆみ
第2部 討論会「内外の人類学的日本研究を橋渡しする」
パネリスト:
Joy Hendry
James Roberson(東京女学館大学)
加藤恵津子(国際基督教大学)
堀口佐知子(テンプル大学ジャパンキャンパス)
司会:桑山敬己(北海道大学)
主催:日本文化人類学会/共催:法政大学国際日本学研究所
問い合わせ先:
日本文化人類学会事務局
E-mail: hoya★jasca.org(★は@に変えて下さい)
その他の情報:
使用言語:英語。どなたでも参加できます。

慶應義塾大学人類学研究会

開催日時:2014年11月25日(火) 18:15〜
開催会場:慶應義塾大学三田キャンパス 大学院校舎5F 356教室
(JR「田町」駅下車、徒歩10分)
発表者とタイトル:
コジューリナ・エレーナ
「鬼のイメージ変遷に関する歴史民俗学的考察 ―酒呑童子を中心として―」
コメンテイター(副査):有末賢(慶應義塾大学法学部教授)・石川透(慶應義塾大学文学部教授)
コメンテイター(主査):鈴木正崇(慶應義塾大学文学部教授)
問い合わせ先:
慶應義塾大学文学部:鈴木正崇
TEL: 03-5427-1138
FAX: 03-5427-1578
URL: http://keioanthropology.fc2web.com/
その他の情報:
博士論文の公開審査を兼ねています。
事前申込不要。参加費無料。

荒神神楽といざなぎ流

開催日程:2014年11月29日(土)・30日(日)
開催会場:国立歴史民俗博物館 大会議室
(京成「佐倉」駅下車、徒歩20分またはバス)
プログラム:
29日(土) 映像上映(解説付き)
11:00〜13:00 「比婆荒神神楽」(国立歴史民俗博物館製作、2011年)
14:00〜16:30 「いざなぎ流御祈祷」(高知県立歴史民俗資料館製作、1997年)
30日(日)午前 映像上映
10:00〜12:00 「物部の民俗といざなぎ流御祈祷」(国立歴史民俗博物館製作、2002年)
30日(日)午後 展示解説・研究会
13:00〜14:00 「中国・四国地方の荒神信仰―いざなぎ流・比婆荒神神楽」展示解説
松尾恒一(国立歴史民俗博物館教授)
国立歴史民俗博物館特集展示
14:00〜17:00
「比婆荒神神楽の荒神について」松尾恒一
「いざなぎ流の荒神鎮め」梅野光興(高知県立歴史民俗資料館学芸員)
「荒神の祭文と祭儀 ―九州の神楽を中心として―」井上隆弘(民俗芸能学会会員)
「うぶ荒神について」山本ひろ子(和光大学教授)
主催:
いざなぎ流と物部川流域の文化を考える会
国立歴史民俗博物館共同研究「東アジアの宗教をめぐる交流と変容」
問い合わせ先:
高知県立歴史民俗資料館(梅野)
TEL: 088-862-2211
FAX: 088-862-2110
その他の情報:
定員50名・要申込(先着順)
メール(stp2014tum★gmail.com(★は@に変えて下さい))あるいは高知県立歴史民俗資料館・梅野宛に葉書(〒783-0044 高知県南国市岡豊町八幡1099-1)かFAX(088-862-2110)で、ご希望のプログラム(ご参加希望日)、住所、氏名、電話番号、所属をご記入の上お申し込み下さい。

第98回神奈川大学日本常民文化研究所研究会

開催日時:2014年12月1日(月) 17:30〜19:00
開催会場:神奈川大学横浜校舎9号館11室(日本常民文化研究所)
(東急東横線「白楽」駅下車、徒歩13分)
発表者とタイトル:
梅野光興(高知県立歴史民俗資料館学芸専門員)
「いざなぎ流の成り立ちを考える」
主催:神奈川大学日本常民文化研究所
問い合わせ先:
神奈川大学日本常民文化研究所
〒221-8686 横浜市神奈川区六角橋3-27-1
TEL: 045-481-5661(代)
その他の情報:事前申し込み、参加費とも不要です。

慶應義塾大学人類学研究会

開催日時:2014年12月2日(火) 18:15〜
開催会場:慶應義塾大学三田キャンパス 413教室
(JR「田町」駅下車、徒歩10分)
発表者とタイトル:
夏目深雪(映画評論家)
「アジア映画の中の日本兵―その表象の変遷と国による変化―」
主な業績:共編著に『アジア映画の森−新世紀の映画地図−』2012年、作品社。『アジア映画で〈世界〉を見る−越境する映画、グローバルな文化』2013年、作品社。主な論文に「混成アジア映画としての日本映画」『地域研究』Vol.13 No.2(総特集 混成アジア映画の海 時代と世界を映す鏡)2013年、京都大学地域研究統合情報センター。
要旨:中国の抗日映画はジャンルとして確立していて数も多く、『鬼が来た!』(02/姜文)など国際的に評価されたものから、『金陵十三釵』(11/張芸謀)のように中国では大ヒットしたが、日本では劇場公開できないような内容のものもある。他のアジア諸国でも、日本統治時代の台湾の原住民が日本警察に対して起こした暴動を描いた『セデック・バレ』(13/魏徳聖)は日本でも劇場公開されヒットしたし、タイで何度も映画化やドラマ化されている、日本兵と現地女性との恋愛話『メナムの残照』(13/キッティコーン・リアウシリクン)も今年の東京国際映画祭で上映され話題となった。反日と言われる中国と、親日と言われる台湾やタイの映画の日本兵の表象を比較してみたい。また戦後70年が経つのにまたアジア諸国との緊張が増している今、日本兵が映画に登場する意味を、日本兵の表象の変遷と国による変化を追いながら見ていきたい。
共催:三田哲学会
問い合わせ先:
慶應義塾大学文学部:鈴木正崇
TEL: 03-5427-1138
FAX: 03-5427-1578
URL: http://keioanthropology.fc2web.com/
URL: 三田哲学会
その他の情報:
事前申込不要。参加費無料。

講研究会 第1回公開シンポジウム

歴史のなかの講と宗教

開催日時:2014年12月13日(土) 13:00〜17:40
開催会場:駒澤大学駒沢キャンパス 1号館204教場
プログラム:
第1部 基調講演(13:00〜14:00)
鈴木正崇(慶應義塾大学文学部教授)
「講集団と門前町―成田の調査から見えてきたもの」
第2部 公開シンポジウム・討論(14:15〜17:40)
パネリスト:
高山秀嗣(東京学芸大学教育学部非常勤講師)「蓮如忌までの報恩講と教化」
久保康顕(東京都市大学環境情報学部非常勤講師)「里修験と行者講」
村上弘子(駒澤大学仏教経済研究所研究員)「近世における高野山参詣の形態」
武田幸也(國學院大學研究開発推進機構PD研究員)「伊勢講の近代的再編」
コーディネーター:石本敏也(聖徳大学文学部文学科講師)
主催:講研究会
問い合わせ先:
〒154-8525 東京都世田谷区駒沢 1-23-1 駒澤大学仏教学部 長谷部八朗研究室

名古屋大学大学院文学研究科「人類文化遺産テクスト学研究センター」公開シンポジウム

東アジアの宗教儀礼 ―信仰と宗教の往還―

開催日程:2014年12月13日(土)・12月14日(日)
開催会場:名古屋大学文系総合館7F カンファレンスホール
プログラム:
◇1日目 12月13日(土) 13:00〜17:30「東アジアの宗教と信仰―ジェンダーの視点から―」
総合司会:阿部泰郎(名古屋大学文学研究科附属人類文化遺産テクスト学研究センター)
基調講演:荒見泰史(広島大学)「敦煌文献より見た唐五代の女性を取り巻く社会環境」
小林奈央子(愛知学院大学)
「霊山と女性―ジェンダー宗教学からの再検討―」
澤井真代(法政大学沖縄文化研究所)
「琉球列島の女性祭司における神と人」
コメンテーター:兵藤裕己
◇2日目午前 12月14日(日) 9:30〜11:50「尼と尼寺をめぐる円卓会議」
江口啓子(名古屋大学大学院)
「新蔵人』絵巻に見る女性と信仰―善妙寺と光明真言について」
恋田知子(国文学研究資料館)
「尼と物語草子」
◇2日目午後 12月14日(日) 13:00〜17:40「場と身体の再生と循環する時間―“民俗の力”を問い直す―」
総合司会:松尾恒一(国立歴史民俗博物館)
基調講演:Haruo Shirane(Columbia大学)「二次的な自然と護符的な力ー都と里山」
小池淳一(国立歴史民俗博物館)
「日本民俗の時間観―陰陽道の民俗的展開を中心として」
黄潔(中国・広西師範大学・大学院)
「記憶された伝統:桂北侗寨の送火儀礼と災難をめぐる語り」
松山由布子(名古屋大学研究員)
「奥三河花太夫所蔵文献に見る牛頭天王信仰と儀礼」
主催:
名古屋大学文学研究科附属人類文化遺産テクスト学研究センター(CHT)
国立歴史民俗博物館・共同研究「東アジアの宗教をめぐる交流と変容」
広島大学・敦煌学プロジェクト研究センター
問い合わせ先:
名古屋大学文学研究科・文学部 阿部泰郎研究室
TEL: 052-789-2288

史料と伝承の会

開催日時:2014年12月14日(日) 14:00〜17:00
開催会場:吉祥寺シティプラザ2F・スペース40(吉祥寺駅ヨドバシカメラ隣)
交通アクセス:JR「吉祥寺」駅・京王井の頭線「吉祥寺」駅下車、徒歩3〜5分
 あっと言う間の2014年でしたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。史料と伝承の会例会のご案内をさせていただきます。今回は会場が決まらなかった関係で、例会案内が大幅に遅れてしまいました。心からお詫び申し上げます。ちなみに今回の会場は、明治大学ではなく、吉祥寺シティプラザ2F・スペース40(ヨドバシカメラ隣)、時間もいつもより若干早い午後2時開始ですので、お間違いなく。
 史料と伝承の会は、明大博物館での萩原龍夫旧蔵資料研究会を母体として発足しました。生前萩原氏は日本各地の祭りと民俗芸能に歴史民俗学的な立場から着目し、祭りと芸能を民間信仰・祭祀組織・民間宗教者との関連の中で歴史的に再構成する道を示していました。荒神神楽研究の第一人者であった岩田勝氏の発掘(「死反生の杖」)もそうしたなかでなされました。
 今回は、近年神楽研究が急速な進展を見せている折から、神楽研究の新たな展開を期して、下記のとおり井上隆弘、鈴木昂太両氏による問題提起・報告をしていただきます。基調報告は井上隆弘氏、あわせて鈴木昂太氏に『六道十三佛之カン文』についての報告をしていただき、斎藤英喜氏からもコメントをいただきます。
発表者とタイトル:
井上隆弘
問題提起「神楽祭文研究の現状と課題―神楽祭文とはなにか―」
 五来重はつとに1970年代初めに『日本庶民生活史料集成 第17巻 民間芸能』の解説において、芸能化した祭文の研究にたいして神楽祭文の研究が「継子扱いされている」と評しているが、今日的な状況もそこから大きな距離はあるまい。
 今発表では、岩田勝、山本ひろ子の二人の論者の著作をふまえて、神楽祭文研究の方法を考察し、ひいては神楽祭文とはなにかという問題について解答を与えてみたいと考える。
 岩田は『中国地方神楽祭文集』において、神楽祭文研究の方法を提起したが、その中心概念は「祭文による強制」というものであった。氏によれば祭文読誦は「悪霊強制型」(祭祀者による神霊への働きかけ)という祭儀類型に属するもので、「託宣型」(巫覡の口を借りた神の一人語り)の対極にあるものであった。一方山本は「神話と歴史の間で」(『歴史を問う』第1巻)で、民間宗教者や巫者によって祭や祈祷の場で語られた祭文は「中世神話」の一ジャンルであり、神話とは、祭の場で巫者が発した一人称形式による「神の独り言」であると規定した。両者の論は明らかに矛盾するが、それぞれ無視しえない重要な問題提起をふくんでいる。このアポリアを読み解き、さらに九州・中国地方などの祭文の事例研究をふまえ祭文とは何かという問題に解答を与えたい。
 今回は「史料と伝承の会」の場をお借りして、『神楽祭文研究論文集』(仮)の刊行にむけて各分野の研究者の方に集まっていただき報告と検討を行う。多くの方から、ご意見を拝聴できればと思う。
鈴木昂太(総合研究大学院大学日本歴史研究専攻後期博士課程)
「近世備後における死霊祭祀―『六道十三佛之カン文』の位置づけを再考する―」
 報告者が研究対象とする広島県庄原市東城町・西城町に伝承される比婆荒神神楽は、先行研究者により、死霊を鎮めるために行われる「浄土神楽」としてかつて行われていたとされ、三十三年に一度の鎮魂の式年大神楽において死霊を祖霊に昇華させるのが目的であるとの説が出されている。しかし、現在伝承される比婆荒神神楽の姿から死霊に関わる要素を見出すことは難しく、神楽を執行する地元の神職の間からも、こうした祖霊信仰としての比婆荒神神楽に対して疑問の声が出されてきた。そうした状況を踏まえ報告者は、「浄土神楽」と「比婆荒神神楽」の関係を再考していかなければいけないと考えている。
 その第一歩として、「浄土神楽」の重要な根拠として言及される、広島県庄原市東城町の戸宇神社宮司杤木家に所蔵される「六道十三佛之カン文」の再検討を行う。この資料の背景にどのような思想があり、如何なる儀礼において用いられたのかを、中近世の御伽草子や地方の神楽・法者の宗教的活動に関する資料との比較を通じて、明らかにしていきたい。
主催:史料と伝承の会
問い合わせ先:
小山貴子(kymtkk1021★yahoo.co.jp)・水谷 類(tagui★f6.dion.ne.jp)(★は@に変えて下さい)
その他の情報:参加費300円(今回は貸室なので、参加費をいただきます)

折口信夫・池田彌三郎記念講演会

開催日時:2014年12月20日(土) 14:00〜17:00
開催会場:慶應義塾大学北館ホール
(JR「田町」駅下車徒歩10分)
講演者とタイトル:
吉田修作(福岡女学院大学教授)
「あそび考」
保坂達雄(東京都市大学名誉教授)
「昭和十年代の折口信夫 ―『琉球国王の出自』を中心に―」
主催:慶應義塾大学文学部国文学研究室
問い合わせ先:
慶應義塾大学文学部藤原茂樹研究室
TEL/FAX: 03-5427-1208
その他の情報:事前申込み不要。参加費無料。

現代民俗学会 第26回研究会「二つのミンゾク学から世界民俗学、そしてその先」

開催日時:2014年12月21日(日) 13:30〜17:30
開催会場:東京大学東洋文化研究所 3階大会議室
発表者とタイトル:
川田牧人「私は○○○でミンゾク学をやっている」
 本セッションの皮切りとして、「私は○○○(外国)でミンゾク学をやっている」というフレーズを考える。これは私が日本と外国の両方でのフィールドワークの手ほどきを受けたプロセスで聞かれたことばである。このフレーズをもとに、「二つのミンゾク学」デフォルト問題についてふれ、セッションの出発点としたい。
梅屋潔「民俗学者とは誰か?」
 私は、民俗学の周辺部で仕事をしながら、決して「民俗学者」とは呼ばれない。「民俗学」の科目を何度も担当しているのにもかかわらず。それでは 「民俗学者」とその他の分水嶺はいったいどこにあるのか?改めて考えてみよう。
島村恭則「『複数形人類学(民俗学由来)』へ:Anthropologies with strong background in Folkloristics.」
 本報告では、近年、活発化している「複数形人類学」をめぐる議論と柳田國男が構想した「世界民俗学」思想との接合について考える。また、あわせて、「人類学的日本研究」と「民俗学」との〈積極的接合〉はいかにあるべきかについても検討する。
小熊誠:コメント
フロア・ディスカッション
主催:現代民俗学会、成城大学グローカル研究センター「社会接触のグローカル研究」プロジェクト
問い合わせ先:
E-mail: mail★gendaiminzoku.com(★は@に変えて下さい)
URL: http://gendaiminzoku.com/index.html
その他の情報:
事前申し込みも参加費も不要です。

慶應義塾大学人類学研究会

開催日時:2014年12月26日(金) 18:15〜
開催会場:慶應義塾大学三田キャンパス 356教室
(JR「田町」駅下車、徒歩10分)
発表者とタイトル:
櫻田涼子(育英短期大学准教授)
「〈過去〉にアイデンティティを見いだす―マレー半島華人社会の珈琲カルチャーとレトロブームの展開」
講師略歴:2010年筑波大学人文社会科学研究科博士後期課程歴史・人類学専攻修了。同年博士号(文学)取得。在学中はミッドランド・ルーサラン・カレッジ(米国)、マラヤ大学、マレーシア国民大学に留学。京都大学文学研究科GCOEプログラム研究員を経て、2013年から現職。専門は文化人類学、マレーシアの華人社会を主な研究対象とし、親族研究、住宅、食文化などについて研究調査を実施している。
主な業績:「家庭内祭祀から公共領域へ―マレーシア華人社会における『盂蘭勝会』の都市的構造」黄蘊(編)『往還する親密圏と公共圏』(京都大学学術出版会、2014年)。「从房屋到家―馬来西亜華人的廉价房屋居改造及日常実践」田中仁・江沛・許育銘(編)『現代中国変動與東亜新格局』(社会科学文献出版社、2012年)。「マレーシアの喫茶文化―国民的な飲食空間」河合利光(編)『世界の食に学ぶ―国際化の比較食文化論』(時潮社、2011年)。「新聞記事にみるマレーシア華人の社会関係の変容―『星洲日報』1929年から2012年の告知記事の分析を通じて」『白山人類学』第16号(東洋大学、2013年)。「『家』を生きる―マレーシア華人社会における関係の諸相」『華僑華人研究』5号(日本華僑華人学会、2008年)。
要旨:ノスタルジックな花柄模様のカップアンドソーサーにたっぷりと注がれた深煎り豆のアロマと練乳の濃厚な甘さが特徴的なコーヒー。コーヒーをレンゲですくって少しずつ飲みながらおしゃべりに興じる南国の昼下がり。コーヒーのお供にはパンダンの葉で風味づけしたココナッツミルクと卵のジャムをたっぷり塗ったトーストを。
 近年、マレー半島(マレーシア・シンガポール)を中心にアメリカ生まれのシアトル系コーヒーとは対極をいくコーヒーショップ、コピティアム(kopitiam)が人気を博している。本報告では、このコピティアムをめぐり顕現するノスタルジア、あるいは懐かしさといった華人の過去に対する認識と感情一般を考察対象とし、ある事柄に対し〈懐かしい〉という評価が下される時、そこでは一体どのような〈過去〉が想起されているのか、また、いかに過去と現在をつなぎ(あるいは断絶し)現在の我々を認識しているのかという問題を考察したい。
 コピティアムとは、マレー語でコーヒーを意味するkopiと福建語で店を意味するtiamからなる語で、コーヒーや紅茶などの嗜好飲料と軽食を供する喫茶店のことを指す。19世紀後半以降、労働移民としてマレー半島に移り住んだ中国出身者のうち、海南出身者により営まれたコーヒーや軽食を提供する屋台や小さい飲食店がコピティアムの始まりともされる。早朝から深夜まで老若男女が飲食するコピティアムは、マレーシア華人社会における日常的場所であり、男性たちが政治談議に花を咲かせ交流する社交の場であるという意味において華人社会の重要な社会的空間として機能してきた。今日では、この伝統的コピティアムをモチーフとしてチェーン展開を図る近代的コピティアムが都市部を中心に急増している。シアトル系コーヒーチェーンが目新しさや先進性を売りにするところを、コピティアムは〈懐かしさ〉がキーコンセプトになっていることが多い。本報告では、マレー半島で興隆する〈過去〉を懐かしむレトロブームの諸相を、現地でコピティアムとよばれるコーヒーショップの展開を中心に考察する。
共催:三田哲学会
問い合わせ先:
慶應義塾大学文学部:鈴木正崇
TEL: 03-5427-1138
FAX: 03-5427-1578
URL: http://keioanthropology.fc2web.com/
URL: 三田哲学会
その他の情報:
事前申込不要。参加費無料。